車雑誌やTVで、『ステアリング』、『ハンドル』と2つの呼ばれ方を聞くことがありますが、この違いはなんでしょうか。
モータースポーツでは『ステアリング』、日常会話では『ハンドル』が多く用いられている印象があります。
この記事では、どちらも同じ意味のように聞き取れる『ステアリング』と『ハンドル』の違いについて解説をしていきます。
もくじ
ステアリングとは
ステアリングとは操舵装置(そうだそうち)のことです(ステアリング・ホイールの略)。
操舵(そうだ)とは「かじをあやつる」意味です。
ステアリングは装置になりますので、単一の部品ではなく複数の部品が集合したシステム全体を指します。
【 ステアリング(操舵装置) 】 【 出典:『自動車のメカはどうなっているか』グランプリ出版 】 |
ハンドルとは
ハンドルは和製英語です。
意味は、機械や運転操作をする際に舵取りの為に握る部分(取っ手や柄)です。
ステアリング(操舵装置)の握る部分を言います。
車に限らず自転車や耕うん機、手押し車にもハンドルはあります。
ハンドルはステアリング(操舵装置)の一部ということになります。
【 ハンドル 】 【 出典:『自動車のメカはどうなっているか』グランプリ出版 】 |
2種類のステアリング機構
ステアリング機構
- ラック&ピニオン式
- R&B(サーキュレーティングボール&ナット)式
ラック&ピニオン式
【 ラック&ピニオン式 】 【 出典:『自動車のメカはどうなっているか』グランプリ出版 】 |
ラック&ピニオン式の特徴は、操作性が良く、構造がシンプルな為に軽量で造ることができるうえ、剛性が高いことです。
主に、乗用車やスポーツタイプの車に用いられています。
サーキュレーティングボール&ナット式(R&B)式
【 サーキュレーティングボール&ナット式(R&B)式 】 【 出典:『自動車のメカはどうなっているか』グランプリ出版 】 |
サーキュレーティングボール&ナット式(R&B)式は、一般的にボールナット式と呼ばれます。
特徴は、部品点数が多く構造が複雑になります。
しかし、操舵性に関しては動作がスムーズでギヤ比を大きくとることができるメリットがあり、大きな力を必要とするトラックやオフロード車に適しています。
ハンドルの直径と操作性
ハンドルの直径は小さいほど操作フィーリングは良くなります。
しかし、路面からのキックバックの影響を受けやすくなることや、ハンドルの中心(支点)から握る力点までの距離が短い為、ハンドル操作が重くなります。
ハンドルを交換した場合の車検について
以前は、ハンドルの直径は350mm以上でなければ車検に通りませんでしたが、現在はそのような基準は設けられていません。
以下のような場合であれば車検には問題なく通ります。
- ハンドルの直径が極端に小さくないこと。(目安は320mm以上)
- メーターの視認性が悪くないこと。
- ホーンマーク(ラッパマーク)があること。(シール可)
- 確実/容易なハンドル操作が可能なこと。
- ハンドルのガタつきがないこと。
- 衝突時に運転者の安全が確保ができること。
気になる点
- エアバッグの装備は無くても車検には通ります。(ただし保険会社に連絡しておくことが無難です)。
- ハンドルカバーをしてある場合も車検には通ります。
メーターにあるエアバッグ警告灯が点灯あるいは点滅している場合は車検を受けることができない為、ハンドルを交換した際はエアバッグ警告灯が点灯(点滅)しないようキャンセルをしておきましょう。
ハンドル交換のメリット
- 操作性(操作フィーリング)が良くなる。
- 運転姿勢が良くなる。
- グリップが良くなる。
- 見た目が変わり気分が良くなる。
- 乗り降りが楽になる。
操作性(操作フィーリング)が良くなる
直径が小さいため同じ角度を切った場合でも、周長が短くなり操作性が良くなります。
運転の疲労にも違いが現れます。
運転姿勢が良くなる
アクセルペダルやブレーキペダルにシート位置を合わせるとハンドルが遠くなる場合がありますが、自分の最適な位置にあったハンドルに交換することができます。
グリップが良くなる
グリップの素材が滑りにくいものに変わるため、汗で滑ることが軽減されしっかりしたハンドリングになります。
見た目
木目調やスポーティーな見た目に変わると気分も変わります。
乗り降りが楽になる
ハンドル交換とプラスアルファーの部品が必要になりますが、F1のように乗り降りの際にハンドルを完全に脱着することができる為、特にスポーツカーでは乗り降りが楽になります。
ハンドル交換のデメリット
- ハンドル操作が重くなる。
- エアバッグがなくなる。
- 任意保険に影響がでることがある。
ハンドル操作が重くなる
ハンドルの直径が小さくなると、ハンドルの中心からグリップ(支点)までの距離が短くなるため、交換前に比べ操作が重くなります。
エアバッグがなくなる
純正以外(社外品)のハンドルには、ほとんどエアバッグはついていません。
社外品に交換すると安全面に不安があります。
任意保険に影響がでることがある
保険会社によっては、エアバッグがない場合の保険料が変わることや保険が支払われないことがあります。
ハンドルを交換してエアバッグがなくなった際は、必ず保険会社に確認をしましょう。
ハンドルのメンテナンスについて
ハンドルは一番触れるところであり、運転する頻度により汚れ方も異なります。
使用頻度や汚れが気になった際、あるいは汚れが気になる前にお手入れすることがよいでしょう。
ハンドルが汚れる主な原因
- 手汗
- 皮脂や手垢
- 経年劣化
- タバコのヤニ
ハンドルの手入れ
硬質ウレタン製・ウッド製
硬質ウレタン製やウッド製の場合は、水分を含ませて硬く絞ったタオルで拭くと汚れは落ちます。
もし汚れが落ちない場合は、電子レンジで暖めた濡れタオルを使用すると効果があります。
メラミンスポンジの使用は、擦った際に傷をつけてしまう恐れがありますので、使用の際は注意をしてください。
革巻きハンドル
硬質ウレタン製などの場合と同様に、水分を含ませて硬く絞ったタオルで拭くと汚れが落ちます。
もし汚れが落ちない場合は、ノンシリコンタイプの革シートクリーナを使用します。
注意
シリコンが入っているタイプではハンドルが滑ってしまいます。
メラミンスポンジや歯ブラシの使用は傷の恐れがありますので使用の際は注意をして下さい。
汚れを拭き取った後は、保湿に『ベビーオイル』を塗っておくとしっとりとした肌触りが実感できます。
まとめ
- ステアリング(操舵装置)とは、操舵システムのことを言います。
- ハンドルとは、ステアリング(操舵装置)の中の、握る部分を言います。ステアリングの中にある一部がハンドルになります。
- ステアリング(操舵装置)には、ラック&ピニオン式とボールナット式の2つの構造があります。
- ハンドルの直径は、操作フィーリングやハンドル操作の重さが関わってきます。
- ハンドルの交換は車検基準にあわせた交換をしましょう。
- ハンドルは、運転する頻度に合わせてお手入れすると清潔かつ長持ちします。
最後までお読み下さり、ありがとうございました。