車検の時にディーラーの方から『ブレーキフルードも交換しなければなりませんね』と言われ、『ブレーキフルードの交換時期っていつなの?』『交換費用はいくらかかるの?』
と思ったことはないでしょうか。
実はブレーキフルードの交換は車検の検査項目に含まれていませんので任意交換になります。
ブレーキフルードの交換は、怠ると事故に直結する軽視してはならメンテナンスです。
当記事では、ブレーキフルードの交換時期と交換費用について解説します。
交換時期を事前に知ることで危険な場面を回避できます。
オイルとフルードの違い
同じオイルであっても使用目的から呼称が変わります。
- 潤滑目的 (潤滑油) :オイル
- 油で力を伝える (動力伝達) :フルード
ブレーキフルードの交換時期
新車購入の場合
購入してから3年経過した時が交換時期です。
新車購入から3年経過は車検の時期にもあたりますので、車検とあわせて交換することが効率的です。
新車購入以外の場合
新車購入以外の場合は、安全の為には2年に1度が交換時期です。
4年に1度の交換であっても良いと言われる場合もありますが、安全のためには2年に1度の交換をおすすめします。
車検時にあわせて交換することが時間効率が良いです。
注意
ブレーキフルードにエンジンオイルは使用できません。
ブレーキ機能を失いますので絶対に入れてはいけません。
ブレーキフルードの色と交換時期
ポイント
- 黄金色・・・・新品
- こげ茶色・・・交換時期
- 黒色・・・・・即交換
新しいブレーキフルードの色は綺麗な黄金色をしていますが、劣化して交換時期を迎えたブレーキフルードは焦げ茶色をしています。
焦げ茶色から更に劣化が進むと黒色になります。
ブレーキフルードの交換が必要な理由
ブレーキフルードは油圧式ブレーキを動かすためのフルード (オイル) です。
交換時期を過ぎたブレーキフルードを使用し続けると、ブレーキフルードの劣化に起因し動力伝達に支障をきたします。
動力伝達に支障をきたすと、ブレーキの効きは悪くなります。
交換の際は、交換時期の他に全量交換をしなければなりません。
ブレーキフルードは全量交換
ブレーキフルードの適量は車種により異なりますが、多くの車種は800ml ~ 1,000mlほどです。
交換時は旧ブレーキフルードを全て抜き取り、新しいブレーキフルードに全量交換します。
注意!
新旧のブレーキフルードを混ぜた場合、性能 (効果) は旧ブレーキフルードを優先し中間の性能 (効果) にはなりません。
全車輪のブレーキ経路までを交換する
ブレーキフルードの交換時にリザーバータンク (リザーブタンク) のみ交換する店舗などがありますが安全性に欠けます。
リザーバータンク (リザーブタンク) 内とブレーキへ繋がる経路までの全てのブレーキフルードを交換しなくてはなりません。
古いブレーキフルードが残っている場合は、新旧のブレーキフルードが混合し平均の性能にはならず、古いブレーキフルードの性能が優先されます。
カー用品店では申し出ると全量交換する店舗はありますが、多くはリザーバータンク (リザーブタンク) 内のみを交換する傾向があります。
一方、ディーラーではブレーキ系統の全てのブレーキフルードを交換します。
ブレーキフルードは、安全の為に全てを交換するようにしましょう。
ブレーキフルードの交換費用
【スマートフォンの方は横スクロールができます】
ブレーキフルード代金 | 工賃 | 合計費用 | |
ガソリンスタンド | ¥1,000円 ~ ¥2,000円程 | ¥2,000円 ~ ¥3,000円程 | ¥3,000円 ~ ¥5,000円程 |
カー用品店 | ¥1,000円 ~ ¥2,000円程 | ¥2,000円 ~ ¥3,000円程 | ¥3,000円 ~ ¥5,000円程 |
ディーラー | ¥1,000円 ~ ¥2,000円程 | ¥3,000円 ~ ¥4,000円程 | ¥4,000円 ~ ¥6,000円程 |
ブレーキフルードの全量交換には800ml ~ 1,000mlほど必要になり、価格は1,000mlあたり¥1,000円 ~ ¥2000円程です。
オートバックスとイエローハットの交換費用と交換時間
【スマートフォンの方は横スクロールができます】
交換費用 (税込み) | 交換時間 | |
オートバックス | ¥4,320円 ~ | 30分 ~ |
イエローハット | ¥3,240円 ~ | 20分 ~ |
工賃の差はブレーキフルードを交換する範囲の差
ディーラーとカー用品店の工賃に差が生じる理由は、ディーラーではリザーバータンク (リザーブタンク) とブレーキ経路内の全てのブレーキフルードを交換します。
一方、カー用品店はリザーバータンク (リザーブタンク) のみを交換する傾向があります。(申し出ると全量交換をしてもらえる店舗もあります)
古いブレーキフルードが残っている場合、新旧のブレーキフルードが混ざり合い平均的な性能にはなりません。
古いブレーキフルードの性能が優先されますので、交換時は全てのブレーキフルードを交換しなくては安全とは言えません。
ブレーキフルードを交換しないとどうなる?
- ベーパーロック現象を誘発
- ブレーキフルードが漏れる
ベーパーロック現象を誘発
ブレーキフルードを交換しない場合は、『ベーパーロック現象』を誘発しブレーキが効かなくなります。
ブレーキフルードの特徴の一つに吸湿性の高さがあります。
ブレーキフルードは大気中の水分を継続的に吸収し続けますので、古くなったブレーキフルードは多くの水分を含みます。
ブレーキフルードに水分を含むことは、ブレーキフルードの沸点を下げるため、フルード内に気泡が出来てしまいます。
ブレーキペダルを踏みブレーキフルードに圧力がかかると、フルードに混入した気泡が潰れ、ブレーキフルードの先にあるブレーキキャリパーなどに力が伝わりません。
力が伝わらないことは、ブレーキが効かないことになります。
ブレーキを効かせる為には (ブレーキフルードに力を伝える為には)、更にブレーキを踏み込まなければなりません。
ブレーキフルード内に気泡が出来てしまう現象を『ベーパーロック現象』と呼び、気泡の大きさによってはブレーキが全く効かない場合もあります。
ブレーキフルードは、制動時の摩擦に起因し高温下で使用されるため、高い沸点が要求されます。
ブレーキフルードを交換しない場合、吸湿性のあるブレーキフルードが水分を多く含み、沸点の降下に伴いベーパーロック現象を起こします。
ブレーキフルードが漏れる
ブレーキフルードは吸湿性が高いため、徐々に水分量が増えブレーキシステム内に錆を生じやすくなります。
錆が原因でブレーキフルードが漏れると、動力伝達に支障をきたしブレーキの効きが悪くなります。
ブレーキフルードを自分で交換する
ブレーキフルードの交換は難しいため自分で交換することは控え、専門業者やディーラーに依頼することが良いです。
ブレーキ系統に空気や水分が混入することは許されず、フルードで満たされていなければなりません。
不備があった場合は事故に直結する部分を扱うため、専門業者やディーラーに依頼することが良いです。
ブレーキフルードの取り扱い注意点
吸湿性が高い
ブレーキフルードは吸湿性が高いため、容器を開封した瞬間に吸湿を開始します。
湿気を吸ったブレーキフルードは沸点が下がります。
開封後のブレーキフルードは直ぐに使用し、可能であれば使い切るようにします。
保管の場合は、湿気が入りにくいようキャップを固く締めます。
また、長期保管のブレーキフルードは安全のために使用をやめましょう。
ブレーキフルードが触れると劣化
ブレーキフルードは樹脂部品、塗装面、ゴム類を傷めます。
ブレーキフルードが触れた部分 (箇所) は直ぐに洗い流しましょう。
ブレーキフルードと車検
車検の検査項目にブレーキフルードの交換は義務付けられていませんので、ブレーキフルードが交換時期を迎えていても車検には通ります。
車検の際はディーラーで確認され交換を進められることが多いです。
車検ごと (2年ごと。新車の場合は3年後) に交換すると安全に運転ができます。
まとめ
- ブレーキフルードの交換時期は、車検時期に合わせて交換します。(新車から3年。以降は2年ごとに交換します)
- ブレーキフルードの交換費用は、ディーラー交換の場合は¥4,000円 ~ ¥6,000円程かかります。カー用品店などでは¥3,000円 ~ ¥5,000円程かかります。
- ブレーキフルードの交換を怠るとベーパーロック現象やブレーキフルードの漏れに繋がります。
- ブレーキフルードの交換は全量交換が必須です。リザーバータンクのみでは安全性に欠けます。
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