ハードトップには2つの意味があります。
この記事では、ハードトップの2つの意味と、ハードトップとセダンの違いについて解説をしていきます。
もくじ
ハードトップとは
『ハードトップ』には2つの意味が存在します。
- 『自動車部品』としてのハードトップ
- 『ボディースタイル』としてのハードトップ
自動車部品としてのハードトップ
オープンカーの屋根が金属や樹脂製の場合を『ハードトップ』と言います。
金属に多く用いられている材質は、アルミニウム合金です。
樹脂の場合はFRPが多く用いられています。
着脱(脱着)は自ら行う必要がありますが、雨などの耐候性や防水性、安全性は高いです。
金属製ハードトップの中には、電動格納式のハードトップ(日本:メタルトップ)も存在します。
電動格納式ハードトップ(メタルトップ)の場合は、運転席からボタン操作をすることで、自動的に屋根の開閉が行えます。
呼称は国やメーカーによって様々になり、日本の場合は『メタルトップ』と呼ばれます。
ちなみに、布製の帆の場合は『ソフトトップ』と呼ばれます。
ボディースタイルとしてのハードトップ
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』【ハードトップ】
セダンの場合に多く用いられる『ハードトップ』は、センターピラー(Bピラー)が無いスタイルを『ハードトップ』と呼びます。
フロントピラー(Aピラー)とリヤピラー(Cピラー)のみをもつボディースタイルになります。
このタイプをハードトップと呼ぶようになった由来は、センターピラー(Bピラー)が無いスタイルとオープンカーの金属・樹脂製の屋根のスタイルが似ていることから呼ばれるようになりました。
センターピラー(Bピラー)がないため前後のウィンドウを全開にすると、大きな開口となり見た目の開放感やスポーティーな伸びやかな車に見えることが特徴です。
ハードトップには2つの意味が存在しますが、元来の意味はオープンカーの金属・樹脂製の屋根になります。
ハードトップには『ハード』が含まれるにもかかわらず、補強するはずのセンターピラー(Bピラー)がなくイメージと意味が異なるため、ハードトップを別の言い方で『ピラーレス・ハードトップ』と呼ばれることもあります。
ピラード・ハードトップとは
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』【ピラード・ハードトップ】
ハードトップはセンターピラー(Bピラー)がないため、側面衝突などの衝突安全性やねじり剛性が弱くなります。
それを補うために他の部分で補強を図ると車両重量の増加やコストアップに繋がります。
そこで、センターピラー(Bピラー)は補強を目的として残し、見た目はスポーティーなハード
トップに見えるように工夫したものが『ピラード・ハードトップ』です。
窓枠(サッシュ)がないことから、『サッシュレスドア』とも呼ばれます。
呼称 | 意味 |
ハードトップ | オープンカーの金属・樹脂製の屋根 (元来の意味) |
センターピラー(Bピラー)が無いスタイル | |
ピラード・ハードトップ (サッシュレスドア) |
センターピラー(Bピラー)を残すが、ハードトップ風に工夫したもの |
ピラーレス・ハードトップ | セダンのハードトップと同じ |
『ピラード・ハードトップ』はセンターピラー(Bピラー)がない為、安全対策においてコストアップになります。
その結果、次第に『ピラード・ハードトップ』は減少し、1993年を最後にセダンへと移っていきました。
その後、日本車における『ハードトップ』も2005年をもって消滅しました。
現在は、メルセデス・ベンツのCLクラスやフォルクスワーゲンから、再び『ピラード・ハードトップ』が販売されるようになりました。
セダンとは
セダンとは、このように定義されています。
セダンの定義
- エンジンルーム
- 室内ルーム
- トランクルーム
国により呼称が異なる
- 日本 :セダン
- イギリス:サルーン
- ドイツ :リムジン
- フランス:ベルリーヌ
- イタリア:ベルリーナ
日本車のグレードにも、○○サルーンと見かけますが、これはイギリスのサルーンから来たものです。
各メーカー高級感を持たせるようにサルーンとつけています。
ドイツでは、日本で言う『セダン』を『リムジン』と言います。
日本で見るリムジンをドイツでは『プルマン・リムジン』と言います。
同じ3BOX(3ボックス)タイプの車でも、国によって呼び方が様々になります。
セダンとハードトップについて
ハードトップには2つの意味があるために最初は混乱しやすいですが、意味がわかれば簡単です。
セダンとハードトップの違い
- セダンとは、3BOX(3ボックス)タイプの車
- ハードトップとは、オープンカーの場合、屋根が金属・樹脂製のタイプ。あるいは、センターピラー(Bピラー)が無い車。
従って、セダンでハードトップの車もあります。
別の言い方をすると、センターピラー(Bピラー)がなければ『ハードトップ』になります。
オープンカーでは、屋根が金属・樹脂製のものであれば『ハードトップ』になります。
布製の帆の場合は『ソフトトップ』になります。
元来の意味は、オープンカーの金属製の屋根が意味になります。
ハードトップがなくなった理由は剛性?
- センターピラー(Bピラー)がないこと。
- 開口面積が大きい(広い)こと。
ハードトップの剛性がなぜ低くなるかと言うと、大きな理由は2つあります。
1つは、単純に補強になるセンターピラー(Bピラー)がないことです。
2つ目は、センターピラー(Bピラー)が無いことで開口面積が大きくなることです。
センターピラー(Bピラー)がない
補強となるセンターピラー(Bピラー)がない為、剛性低下になることは簡単に想像がつきます。
開口面積が広い
セダンにはセンターピラー(Bピラー)が存在しますので、前席側はフロントピラー(Aピラー)とセンターピラー(Bピラー)の間が開口部になります。
後席側には、センターピラー(Bピラー)とリヤピラー(Cピラー)からなる開口部があります。
ハードトップはセンターピラー(Bピラー)が存在しませんので、フロントピラー(Aピラー)とリヤピラー(Cピラー)からなる開口部になります。
言うまでもなく後者(ハードトップ)の開口面積が大きくなり、この意味は剛性低下になります。
剛性は開口面積が大きくなるにつれて低下します。
同一車種でセダンにはサンルーフ設定があるが、ハードトップにはサンルーフ設定がない場合があります。
この理由も同じく、サンルーフがあることで開口部が存在し剛性低下になるためです。
オープンカーの剛性が低い理由も同じく、車両上部が丸々開いているためです。
車両重量やフレームなどを無視した場合、2ドアクーペと4ドアセダンでは後者の4ドアセダンが開口面積が大きくなるため剛性は低くなります。
日常を例にしたイメージでは、蓋があるダンボール箱と、蓋が無いダンボール箱では箱のねじれ・ひずみに違いが生じることが想像できると思います。
同一車種の『オープンカー』と『オープンカーにハードトップ装着』を乗り比べても、その違いがわかるほど、開口部が大きい場合は剛性低下に繋がります。
オープンカーにハードトップを取り付けただけで、溶接などで一体構造になっていない場合であっても差は歴然です。
それほど、開口面積が大きいと剛性低下に繋がります。
剛性低下のしわ寄せが他の部品やユニットに大きな負荷を与え、また負荷を担うことができず生産中止に至ったと考えられます。
ハードトップがなくなった理由
ハードトップはセンターピラー(Bピラー)がない為に、衝突安全性や側面衝突、ボディ剛性(ねじり剛性)の低下が懸念されました。
それを補うためには、他の部分を補強をしなくてはならず、ドア周辺に補強を入れると、センターピラー(Bピラー)が無いにもかかわらず車両重量は約20kg重くなります。
補強に使う設計費用や時間、コストアップ、などの問題がありました。
- 衝突安全性の低下
- ボディー剛性の低下
- コストアップ
- 重量アップ
当時は上記4点の理由からハードトップが姿を消していきました。(現在の基準とは異なります)
現在はハードトップが改良され、メルセデス・ベンツ(CLクラス)やフォルクスワーゲンから再びピラード・ハードトップの車両が販売されています。
まとめ
ハードトップの意味は2つあり、1つ目はオープンカーの屋根が金属・樹脂製のもの。2つ目は、センターピラー(Bピラー)がないタイプの車です。
ハードトップがなくなった理由は、衝突安全性の低下やコストアップ、車両重量が理由です。
セダンとは、3BOX(3ボックス)タイプの車で、セダンのセンターピラー(Bピラー)がないタイプをハードトップといいます。ハードトップのセダンもあります。
最後までお読み下さり、ありがとうございました。